「債務整理」に関するQ&A
借金をしていると結婚できませんか?
クレジットカードの使いすぎや各種ローン、消費者金融からの借り入れなど、借金の種類は多種多様です。
他人に言えない事情で借金をして秘密にしている人もいると思います。
中には借金があることを婚約者に言えないまま、結婚の日が近づいてきた人もいるかもしれません。
「借金を抱えたまま結婚ってできるの?」
「借金を隠して結婚したら、後で彼氏(彼女)から訴えられる?」
「借金があるまま結婚をすることで彼氏(彼女)に何か影響はある?」
「結婚して名字を変えれば借金を踏み倒しできるのでは…」
このように、様々な疑問や不安があると思います。
ここでは、借金を背負っている人のために、借金と結婚に関することを解説していきます。
1 借金があると結婚できないの?
結論から言えば、借金をしていても問題なく結婚できます。
「税金を滞納していると、役所に行って婚姻届を出すときに税金の未払いを指摘されないだろうか」と不安になる人もいるかもしれませんが、そういった心配はありません。
また、借金をするときの契約書に「返済が終わるまで結婚してはならない」などと書いてあることもないはずです。
2 借金を抱えたまま結婚する不利益・悪影響
借金があっても結婚をすることはできます。
しかし制度としては可能であっても、実際に生活する際には何らかの不都合があるかもしれません。
具体例を紹介していきます。
⑴ 結婚式や新婚旅行に支障が出る
借金のせいでお金がないと、結婚式や新婚旅行ができなくなる、または質素なものにせざるを得なくなる可能性があります。
結婚式や新婚旅行の費用は相手と共に負担することになると思いますが、相手に多くお金を負担させてしまうと、不公平感から相手の不満が大きくなることが容易に想像できます。
結婚資金を融資する「ブライダルローン」というものもありますが、借金があるとこういったローンの審査にも落ちやすくなります。
様々な局面で「お金が足りない」という事態に陥りやすくなってしまうのです。
⑵ 結婚の延期や中止のリスク
借金のことがバレると、相手が結婚に対して慎重になる可能性があります。
完済まで結婚を延期しようと言ってきたり、婚約を解消したいと言われてしまったりするかもしれません。
⑶ ローンを組みづらくなる
結婚した後で、持ち家や家族用の車が欲しくなるかもしれません。
そういったものは通常ローンを利用して購入することになります。
しかし、借金があるとローンの審査に通りづらくなります。
欲しい家や車などがあっても、諦めなければならない可能性が高くなるはずです。
借金のことを秘密にしたままの場合、「なんでローンの審査に通らないのだろう?」と相手に不信感や不満を抱かせる要因にもなってくるでしょう。
⑷ クレジットカードを使えない
大抵の社会人はクレジットカードを持っているはずです。
しかし、借金があるとクレジットカードの審査に落ちやすくなりますし、長期間借金の返済を滞納していると、既に所持しているカードも使えなくなります。
こうなると生活に支障が出る可能性がありますし、相手から「何故クレジットカードを使えないの?」と疑問を持たれてしまいます。
カードが使えないせいで芋づる式に借金のことがバレてしまうかもしれません。
⑸ 借金のことがバレるリスクが跳ね上がる
結婚後は通常、相手と同居すると思います。
同居すると借金の督促状や請求書を見られる可能性が高くなります。
また、借金を返済しているせいで生活費が足りなくなることもありえます。
借金のことを知らない相手は「もしかしてギャンブルで散財しているのか」「誰かに貢いでいるのか」などと、疑惑がどんどん膨らんでいくことも十分考えられます。
3 借金を解決する方法は?
このような悪影響を考えると、借金は結婚前に解決しておいた方が何かと安心です。
では、一体どのようにして解決すべきなのでしょうか?
【住所や名字を変えても解決にはならない】
なお、結婚をして住所や名字が変わっても、借金の支払義務は継続します。
一時的に督促が止むかもしれませんが、それは債権者が新しい住所や氏名を辿るのに時間がかかっているだけです。
銀行やクレジットカード会社・貸金業者等は、債務者の住所や新しい氏名を突き止める方法を知っています。
住所や名字を変えても借金を踏み倒せるわけではありません。
むしろ予期しないタイミングで督促状が来て、それを結婚相手に見られるリスクが高くなるだけでしょう。
借金を合法的に解決する方法が「債務整理」です。
債務整理には主に3パターンあります。
それぞれの特徴を簡単に説明します。
⑴ 任意整理
債権者と個別に交渉して支払額を減らし、支払いスケジュールを見直す旨の合意を取り付けます。
他の債務整理と違って裁判所を通さないため手続きがスムーズに進む傾向があり、早く解決に至ります。
しかし、減額されるのは将来発生する利息や遅延損害金などに限られるため、減額という側面だけを見ると効果はやや限定的です。
比較的低額な借金の解決に向いている方法と言えるでしょう。
⑵ 自己破産
裁判所に申立てをして、借金を基本的にゼロにしてもらう債務整理です。
減額率だけを見ればどの債務整理よりも優っていますが、ある程度以上の財産を持っていると、その財産は裁判所によって処分・換金され、債権者への弁済に使われてしまいます。
そうは言っても当面の生活に支障がないほどの財産は手元に残せるため、どうしても支払いきれないほど高額な借金がある場合は自己破産の検討をおすすめします。
⑶ 個人再生
裁判所に申立てをして、借金をおおよそ5分の1〜最大で10分の1まで減額してもらう手続きです(どれくらい減額してもらえるかは借金の総額や保有している資産額等によって変わってきます。)。
減額後の借金は原則3年程度かけて毎月少しずつ分割返済していきます。
債務整理をするとローン支払い中の品物は基本的に債権者が回収してしまいますが、個人再生には「住宅ローン特則」という制度があり、これを利用すると住宅ローンを従来のまま支払うことを条件に持ち家を手元に残せます。
減額してもらえれば借金を返済できるだけの収入がある人や、マイホームを失いたくない人にとっては検討に値する制度です。
4 借金は結婚前に解決すべき!弁護士に相談を
借金があっても結婚できないわけではありません。
しかし、借金は結婚前後の生活に多くの悪影響を及ぼします。
配偶者に迷惑がかかる可能性もあるので、結婚前に借金を解決しておく方が何かと安心です。
そして借金を解決するための債務整理は、弁護士に依頼して手続きしてもらうことを強くおすすめします。
任意整理の際の債権者との交渉は弁護士にしてもらった方が有利に進められますし、裁判所で行う債務整理(自己破産・個人再生)も弁護士に代行してもらわなければ難しい部分が多いです。
結婚という新しいステージに入る以上、借金という不安を先に解決するため、当法人の弁護士にご相談ください。
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